親知らずとは?
親知らずとは、前から数えて8番目の上下左右の奥歯のことをいいます。
語源は、「親が亡くなった後に出てくる歯」と言われていた※諸説あります。
親知らずのイメージとしてよく「痛い」、「腫れる」、「抜歯が必要」などと耳にします。
実際のところ親知らずが原因で来院される患者様はそういうケースが多いのですが、なぜでしょうか?
大昔の人は現代人よりも硬いものを食べていて、硬いものを砕くために顎が発達し、親知らずも生えそろっていたそうです。時代が経るにつれ、「調理技術の向上」、「栄養状態の改善」、「食の欧米化」等が原因で、現代人の顎は小さく退化してしまいました。顎が小さくなった結果、本来生えるはずだった歯のスペースが狭くなり、正常に生えづらくなってしまい、さらには斜めや横に生えたりする場合が多くなってしまいました。
生え方がまっすぐではない場合、どうしても隣の歯に影響が出てしまいます。
親知らずは奥にありますので非常に歯磨きがしづらく、細菌感染を起こしやすい歯です。
そのため虫歯になりやすく、歯周病を発症してしまう可能性もあります。
親知らずはすべて抜かないといけないのか?
お口の中できちんと使えている場合や、お口にトラブルを引き起こしていない親知らずであれば、抜歯の必要はありません。
【抜歯の必要がない場合の例】
上下の親知らずがしっかりと噛み合い、歯磨きがきちんとできる場合
完全に顎(骨)の中に埋まり、痛みなどの症状が無い場合
【抜歯したほうがよい親知らず】
まっすぐ生えていない場合
生えるスペースが小さく、斜めや横に生えてしまった親知らずは、歯ブラシをきちんとあてることが難しくなります。
歯ブラシがあたっていないことによって、どうしても磨き残しが生まれ、虫歯や歯周病の原因となります。
そのまま放置しておくと、身体の抵抗力が落ちたときに突発的に親知らず周辺の歯ぐきが腫れて痛みを伴い、ときには口を開けることができなくなることがあります。
噛み合う歯が無い場合
まっすぐに生えた親知らずでも、噛み合う歯が無ければ、対する歯ぐき(上の親知らずなら下の歯ぐき、下の親知らずなら上の歯ぐき)にあたるまで伸びてしまい、痛みを引き起こすことがあります。
他の歯に悪影響がでる場合
親知らずがまっすぐ生えないために、手前にある第2大臼歯のブラッシングが難しくなり、虫歯や歯周病の可能性が高くなったり、第2大臼歯を押す力が働き、歯並びを悪くするなどの悪影響をもたらすことが考えられます。
治療に悪影響がある場合
矯正治療やインプラント治療を受ける際に、親知らずがあることで、歯並びや噛み合わせに悪影響がでることが考えられます。
このように親知らずは、生え方やお口全体の状態によって、「抜く・抜かない」の判断が異なります。
ライフスタイルの変化によって、その判断が変わることもあるので、日頃よりかかりつけの歯科医院で定期的な検診を受け、相談しやすい環境をつくっておきましょう。
親知らずがトラブルを起こす原因とは?
親知らずが生えていても、何も悪さをしなければ気にすることはないのですが、他の歯がすでに生えそろっているところに生えようとするため、きちんと生えるためのスペースが不足していることが多く、生えてくる段階で歯が曲がったり、傾いたり、手前の歯にくっついたり押したりして、周りの歯や歯ぐきに負担をかけてしまいます。
また、親知らずは一番奥に生えてくるため、歯が生えた後に汚れがたまりやすく、ムシ歯や歯周病になる確率が高いことがあげられます。
しかも、その時に手前の奥歯を道連れにすることが多く、とても厄介なのです。
【親知らずの治療法】
親知らずがきちんと生えていない場合の多くは、抜歯の必要があるケースがほとんどです。
これは、治療するにも歯が奥過ぎたり、歯の形がおかしかったり、的確な治療とメインテナンスができないと判断されるためです。親知らずが生えている方は、まずは磨きにくい場所なので、なるべく汚れを残さないように歯みがきをするようにしましょう。
親知らずを抜くか抜かないか迷っている方へ
抜歯が怖いということで歯科医院への足が遠のいている方が多いです。
しかし、親知らずについて正しい知識がないと、虫歯や歯周病のリスクを放置することになってしまいます。
歯科医院に受診したからといって「すぐに抜いてしまいましょう」ということはありません。
まずは、ご自身がどのような状態なのか、歯科医師の診断を受け、じっくりと相談していきましょう。
【当院の特徴】
患者様のお口の悩みや治療に対するご希望は人それぞれ。患者様ひとりひとりに最適な治療をご提供できるよう、患者様とのコミュニケーションを大切にし、専用のカウンセリングルームにてじっくり時間をかけた丁寧なカウンセリングを心がけています。
親知らずの抜歯後の症状
親知らずに関わらず抜歯処置をすれば、術後にトラブルが起こることがあります。
当然抜歯したところは「穴」となりますし、術中の状態や個人によって症状の出方が異なります。
①痛み
術中は麻酔を効かせて痛みを取り除いていますが、おおよそ2~3時間で麻酔の効果がなくなります。(個人差によります。)術後は鎮痛薬を処方いたしますので、麻酔が切れる前の服薬が必要です。
②出血
少量であれば心配はありませんが、止まりにくい場合は清潔なガーゼを傷口にあてて20分~30分ほど強く圧迫するように噛んでいただければ、血液が固まり止血できます。
また体内の血流が良くなると出血しやすくなったり、腫れやすくなりますので、抜歯した当日の運動や入浴、飲酒などは避ける必要があります。
③腫れ
抜歯をすることによってしばらく腫れることがあります。その場合は抜歯直後から2~3日がピークでそこから約1~2週間で落ち着いてきます。
腫れるかどうかは個人差がありますが、しっかり生えている歯より埋まっている歯、歯周炎など細菌感染起こしている歯は腫れやすいとされています。
腫れがある場合、冷たい水に浸したタオルなどで軽く冷やすと効果があります。
しかし極端に冷やしすぎるのも、治りを悪くしてしまうので、氷や湿布などを直接当てたりするのは避けるべきです。
④口が開かない、飲み込みづらい
親知らずを抜歯すると、その周囲の組織が腫れることがあり、炎症がお口の周りの筋肉の動きを妨げるため、口が開きづらくなったり、喉やリンパが腫れるため、食べ物を飲み込むときに痛むことがあります。
⑤麻痺、しびれ
下の親知らずを抜歯した後、麻痺やしびれが出ることがあります。
これは親知らずの近くに下あごから舌、唇までにつながる神経があるからです。
親知らずの根が神経に触れていたりすると抜歯した後に麻痺、しびれが残ることがあります。
抜歯した際に触れるぐらいであれば麻痺は長期間残る事はありません。
違和感がある場合は神経に作用するビタミン剤を処方することが多く、これでほとんどの場合、症状は改善されます。