Bさん
先生、虫歯を放置していたら、最初は冷たいものにしみる程度だったのが、最近何もしなくてもズキズキ痛くなってきました…。神経を抜かないといけないですか?
先生
そうですね。お話を聞く限りでは、虫歯が神経まで進行している可能性があります。まずはBさんの虫歯のレントゲン写真を一緒に見ていきましょう。レントゲンは硬い所が黒く写り、軟らかい所が白く写ります。
写真を見てみると大きな虫歯が歯髄まで進行しているのが分かります。
歯の中には神経と呼ばれている「歯髄」という軟らかい組織があります。この歯髄が虫歯などで細菌の感染を受けた場合、神経を抜く治療が必要になってきます。
Bさん
神経を抜くっていうのは具体的にどのような治療なのでしょうか??
歯に大きな穴を開けないといけないと聞いたのですが…。
先生
歯は外は硬いですが内部は軟らかく、虫歯は外から見えている以上に中で広がっていることが多いです。 そこで悪いところはすべて取り、さらに残った部分がかみ合わせの力で割れないように形を整えると大きな穴が開いたように感じますが、歯を残して治療していくために必要な処置になります。
そして歯髄が感染や炎症を受けたまま放置しておくと、根の周囲の組織に炎症が広がったり、根の先端に相当する歯肉が腫れたりします。
根管治療では、痛んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、 再度の感染を防ぐために根の中に詰め物をします。このように歯髄を除去する治療法を抜髄と呼びます。
先生
一方、以前に根管治療が終了している根が再び感染してしまった場合にも、根管治療が行われます。 この場合の治療法は、感染根管治療と呼ばれます。
一度治療したが再感染してしまった症例。根の尖端部分に相当する所に膿が溜まっています。
Bさん
なるほど。とても細かい作業なんですね。神経を取ってしまえば、それで終わりだと思っていました。
先生
そうなんです。この根管治療(歯の神経・根の治療)は実はかなり難しいのです・・・。
なぜなら、根っこの中は直接見ることが難しく、歯髄の形(根管の形態)も人それぞれ違うのでどうしても回数がかかってしまう事があります。
また唾液の中にも細菌が含まれているので、治療する歯によっては、ラバーダムと言ってゴムのカバーをしたり、根管の中を拡大鏡(マイクロスコープ)で確認したりします。
Bさん
根の治療とか神経を抜くとか聞いた事はあったけど、具体的に何をやっているかを全然知らなかったので、今日は良く分かりました!ありがとうございます。
先生
いえいえ。あと、根の治療を始めて、次の治療までに何ヶ月も空けてしまうと根の中が再感染してしまう可能性があるので、あんまり空けない様にしてくださいね。