歯周病とは?
歯周病とは、歯垢(プラーク)がきっかけでおこる歯周組織の病気で、知らないうちに歯ぐきの骨がなくなる病気です。
歯垢とは、食べかすや歯の垢(あか)ではなく『細菌の塊』です!
1mg中に数億もの細菌が棲みついていると言われていて、その中の歯周病原菌が出す毒素で歯肉に炎症をもたらします。
しばらくすると、歯垢はやがてだ液中のミネラルと結合して石のように硬くなり「歯石」となります。
歯石は、歯と歯の間の歯周ポケットに溜まり、歯肉を刺激し続け、やがて歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしはじめます。
歯周病がひどくなってくると、歯がグラグラするのはこのためで、歯を失う原因はムシ歯より多いと言われています。
おもな原因は、歯垢(プラーク)ですが、糖尿病などの全身の病気やタバコを吸うなどの生活習慣が、歯周病をひきおこしたり悪化させる原因にもなっています。
歯周病も早期発見が大事!
毎日、歯ブラシやフロスなどで歯垢(プラーク)を取り除かないと、歯垢(プラーク)が歯や歯と歯茎の間(歯周ポケット)に蓄積されていきます。
これは、歯茎トラブルの第一段階である炎症を引き起こします。
歯茎の炎症に気づいたら、すぐに歯医者さんに相談しましょう。
初期段階の発見であれば、治癒できることもあります!
下記の症状に注意しましょう
- 知覚過敏、歯茎の赤み・腫れ
- 歯磨きやフロス中の出血
- 口臭・口の中が変な味がする
歯茎の問題が進行すると、歯垢(プラーク)からのバクテリアが歯茎の潰瘍部から血管内に流れ込み、血流に乗って全身を駆け巡るので、身体全体の健康状態に影響を及ぼします。
このことからも、歯茎トラブルの予防は、お口の健康のみならず、身体全体の健康を保つ為にも大切なのです。
お口の中で気になる事がありましたら、お気軽に相談ください。
歯周病治療の流れ
1.診査・診断
歯周ポケットの測定、レントゲン診断
2.基本治療
歯ブラシ指導、歯肉縁上・縁下のクリーニングによりプラーク(歯垢)・歯石を口腔内から徹底的に排除します。
歯病治療を成功させる為に、長期的に健康な状態を維持するために最も大切なステップです。
他に、虫歯治療・根の内部の消毒(根管治療)等もこのステップで実施し、口腔内の病的因子を全て排除し、まずは徹底的に口腔内を清潔な状態に回復させていきます。
- 歯周病が改善された部位→メインテナンス
- 歯石除去スケーリング(歯肉より上に見える歯垢・歯石のクリーニング)
- 歯石除去SRP(歯肉より下に入り込んだ歯垢・歯石のクリーニング)
3.再評価
初期治療終了後、歯周病の状態が改善されたか否かを再度、歯周ポケットを検査し評価致します。
再評価の治療結果を基に歯周病が改善された部位・改善が不十分な部位を患者様に御説明し、今後の治療の進め方について御相談して決めていきます。
- 歯周病が改善された部位→メインテナンス
- 歯周病の改善が不十分な部位→再度、歯ブラシの徹底/歯肉縁下クリーニング
- 歯周外科治療(歯周病の小手術)
歯周病予防・メインテナンス
歯周病は再発傾向のある疾患です。長期的に治療効果を継続させる為に、健康な状態を維持するために定期的に検診しクリーニングをしていく事がとても重要です。
患者様の口腔内の状態によってメインテナンス期間は1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月と分けていますが、通常は3ヶ月に1度のメインテナンスを実施いたします。
歯周病になりやすい人はこんな人
同じようにブラッシングをしていても、歯周病になりやすい人とそうでない人がいます。
その違いはどこにあるのでしょうか?
歯周病の発症や悪化にかかわる原因は、3つに大きく分けることができます。
- 口の中の細菌の攻撃力
- 患者自身の抵抗力
- 生活習慣(環境)
歯周病は、「細菌」「患者自身」「環境」の3つの危険因子が複雑に絡み合って発症し、進行します。
この3つの因子がすべて重なっていると、発症の危険性が高くなりますが、どれか1つに当てはまる場合でも注意は必要です。
歯周病リスクチェック
危険度「低」★☆☆
- 40代である
- 思春期の女性
- 妊娠中
- 家族に喫煙者がいる
- 運動不足
- しばしば深酒する
1つでも当てはまれば・・・
危険度は低いですが「歯周病になる可能性がある」自覚を持ち、定期検診を受けましょう。
危険度「中」★★☆
- 50代である
- 肥満
- ストレスをためやすい
- 親が歯周病
- 骨粗しょう症である
- 甘いものが大好き
1つでも当てはまれば・・・
「歯周病になりやすい」状態です。早めに歯科医院を受診しましょう。
危険度「高」★★★
- 60代以上である
- 習慣的に喫煙している
- 毎日ブラッシングしていない
- かかりつけ歯科医院はない
- 長期間、定期検診をつけていない
- 更年期である(女性)
- 糖尿病患者である
- 歯ぎしりするクセがある
- 親が40代にして総入れ歯
1つでも当てはまれば・・・
歯周病になっている可能性が高いので、すぐに歯科医院へ受診しましょう。放置すれば重症化する危険性があります。
歯周病は、歯を失うだけでなく全身の病気につながる
歯周病は、歯周病菌による感染症です。
軽いうちであれば歯周病菌は歯肉、の周辺にとどまっていますが、進行して深い歯周ポケットが形成されるようになると、その中で炎症を強めるタンパク質(サイトカイン)などがどんどん増え、歯肉の血管から血液中へ流れ出していきます。
血流にのって臓器や血管壁にたどり着いた歯周病菌やサなどイトカインは、毒性を発揮し、糖尿病や心臓病を悪化させる全身にさまざまな悪影響を及ぼすのです。
また「気道」も、歯周病菌が体内に入り込む経路の一つです。
口の中にいる歯周病菌が食べ物やだ液混ざり、誤って気道から肺へ流れ込むと、『誤嚥性肺炎』などを引き起こします。